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女性建築士のブログ 普段どおりの毎日

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貧困の光景

曽根綾子 「貧困の光景」を読んだ。

彼女はカトリック信者であり、作家であり、ワタシの青春期に大きな影響を与えた人である。
ダンナも三浦朱門 という作家である。

年齢は多分80歳近いと思う。
このお歳の方で聖心女子大卒業なので、裕福な育ちの方であろう。

この本は、その彼女が 海外邦人宣教者活動援助後援会(JOMAS) という小さな組織を立ち上げて、海外(大半が超発展途上国)で働く日本人神父や修道女たちに物資や資金を送るという活動をした際に、様々な国で見聞きしたことをまとめたエッセイ集である。

「肌の色で差別はしてはいけない」と大半の日本人が言うが、その根底には差別する側の思想がある。
が、有色人種である日本人は海外では、未だに、立派に差別される側にある と彼女は言っている。


まずは 島国ニッポン人に先制パンチを与える。

人間とは卑しいもので、「人の不幸は蜜の味」なる心があり、超貧困国の現状はどうか?という貧しい気持ちから、読んでみる でも、イイのではないかと思った。

読んでいて気づくのだが、超貧困国の人々は「生」に対して正直であり、日常にある「死」に対しても平常心なのである。
様々なことに過剰に反応し、権利意識が増大し、生きる ということさえもわからなくなっている日本人が滑稽に思えてもくる。

「美しき自然」は、色々な国の過酷な自然について書かれている。

シリアでは45℃以上の気温の中では、人々は厚手のコートを着ている。
それは、厚く着込めば衣服のなかは、体温とほぼ同じ温度で収まるからだそうだ。

インドでも自動車はクーラーがなくても、窓は閉めて走るそうだ。
あけていると熱風が吹き込むからだ。

ベイルートでは、世間話で「こう熱くては、海水浴でもしているしかありませんね。」と言ったら、相手は真面目な顔で「でも、海は熱くて入れませんから。」と答えたそうだ。

こんな過酷な国々を訪問したことのある彼女が、ニホンの住宅建築についても、一考書かれていて、興味深かったので、列記する。

今の日本では、自然礼賛の合唱しか聞こえない。
断熱材やアルミサッシで外界の変化を極力受けないようにした防備的な家に住みながら、空気清浄機とか、森林浴とかを求めている。
それはまことに不自然な暮らし方なのである。


静岡県は気候は温暖で、住みやすいところである。
前記の国々に比べたら、多分天国であろうかと思う。

商業主義や、矛盾だらけのエコロジストたちによって、過剰な建築や、考え方で翻弄されている。

まぁ資本主義社会とは広告社会なので、仕方ない一面もあるが、それを取捨選択できない日本人が蔓延することが、問題なのである。

価値観とは、自分自身の中にある。

翻弄されないためには、自分自身をしっかりと見つめることしかないように思う。

この本は「体たらく」になった日本人の心に「渇」を入れる一冊である。
by asaasa-archi | 2009-12-07 23:13 | 読書