女性建築士のブログ 普段どおりの毎日

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介護と住環境のお話

ワタシの母は車椅子生活になって3年程度、それ以前の数年は手押し車歩行であった。

母がそういう状態になる前にワタシはアルバイトの仕事で、福祉住環境コーディネーターという資格の講師をしていたことがあり、介護のなにか もわからずに、ただただ教科書通りの授業を行っていた。

そこには、介護のための改修工事においては、廊下巾は従来の日本のモジュールである3尺である場合柱巾、下地材巾を引いて750mm程度となり、車椅子の場合には適さず、必ず改修が必要というようなことが書いてあったように思った。

つまり3尺の廊下は不可→介護改修は廊下巾1m以上 という定説が自然にまことしやかに伝わっていた。

だから、このころメーターモジュールがはやりだし、もともとメーターモジュールだったハウスメーカーなどは、まるで時代の先駆者のごとく勝ち誇っていた。
3尺の廊下はだめでしょ!的な・・・

ところが現実は違う。

老人の足腰の老化は徐々に進行する。
最初から車椅子ではなく、数年間のつたい歩き→手押し車→車椅子生活となる。

つたい歩きの場合は廊下巾は広くてはだめなのだ。
なにかにつままりながら歩行する場合は例えば廊下の両側に手すりがあり、両手でつかまりながら歩くのが最も安定するからだ。

手押し車歩行もそうだ。
廊下巾が広いと不安になるようだ。
この場合も狭いほうが安定する。

そして車椅子になった場合だが、実は年々車椅子が小さくなって、使いやすくなり3尺の廊下でも全く問題ない。
90度の曲がりも、問題ない。

つまり教科書に書いてあることと現実は違うし、老人各々の運動能力の格差もあるということだ。
画一的になにが良く、何が悪いとは言えないのだ。

でも、現実に介護を経験していないと、それがわからない。
とおり一片の概念でしか設計ができない。

もちろん殺人をしたことがなければ推理小説は書けないのか といったらそうではないし、料理ができない男性建築士がキッチンの設計ができないか といったら そういうことでもない。
子供がない女性建築士が子育てを語れないか といったらそういうことでもない。

問題なのは、経験したことがない場合は、なにも知らない子供と同じだと自覚し、教科書に頼らず、ちゃんと自分で勉強したり、見たり聞いたりしなければ、経験したものには及ばない という謙虚な気持ちを持つことが大切なのだ。

それでも、机上の勉強では絶対にわからないことがある。
それは、実際の介護の苦労、子育ての苦労、家事の苦労だ。


経験したものでなければわからない 苦悩だ。
育児と違って介護の場合は、延々と続く心理的な苦悩だ。
時には表立って言うこともできず、泣くことすらもできない苦悩だ。

だから、介護改修などは、本当に介護されている主婦の方たちにたいする、さらなる配慮が必要なのだ。
「セオリーではこうなっていますが、実際はいかがでしょうか?」と聴く 素直な態度である。

こういうことができて、初めて一人前の建築士だと、名のることができる とワタシは思っている。

人というのは そういうものである。



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by asaasa-archi | 2012-01-27 20:02 | お仕事