女性建築士のブログ 普段どおりの毎日

archiasami.exblog.jp
ブログトップ

「息もできない」を観た。

地に足がついているような、完璧なリアリズムを感じた。
素晴らしい作品だ。


日本人が好むリアリティーを上手く表現しているので、韓国人がつくったとは思えなかった。
監督、脚本、主演 ヤン・イクチュンという無名の俳優だ。

自分が持っている気持ちを掃き出したかったと言ったそうだが、商業学校を卒業し、様々な職業を経験し、専門的な学校に行ったわけでもなく、助監督でキャリアを積んだわけでもない彼の初監督作品がこれとは、まさしくスゴイとしかいいようがない。

思春期時代にDVの父に母と妹を殺され、すさんだ精神を抱えながら、借金の取立てを商売としている主人公が、女子高校生と知り合い、心をすり合わせ、互いに癒されていく。
その少女もベトナムからの帰還兵で心を病んでいた父と不良の弟を抱え、亡くなった母にかわり家事を担っていた。

その生い立ちから、互いに優しい言葉をかけることができず、汚い文句を重ねながら、なぜか心を通わせていく様や、夜の漢江のほとりで、互いの不幸を癒しあうことができず泣くさまが、静かな感動を呼ぶ。

二人のふれあいを通して、奥深くひそむ韓国の闇をえぐりとるような表現が完璧になされている。

ものすごいマイナーな映画なので、Biviでの観客は数えるほどしかいない。

が、数々の賞を獲得したのがうなずける作品であることは、間違いないと思った。

映画の原点をみた。
[PR]
by asaasa-archi | 2010-09-04 18:44 | 映画・TV