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女性建築士のブログ 普段どおりの毎日

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座の文化

日本はの習慣があった。

正座、座椅子、座布団など「座」のなごりが感じられる言葉はいくつもある。
が、それらは急速に減少しつつある。
椅子に腰掛ける生活が浸透したからだ。

これには、さまざまな理由があり、高齢者の生活は足腰が弱くなるにつれて、より腰掛けるほうが楽だからという理由もある。
確かに、トイレなど公共物で最初のドアをあけて和式があると、ついつい洋式トイレを探してしまう。

洋式トイレを初めてみたのは、1970年の大阪万博での会場だった。
小学校5年生のときだった。
使い方がわからずに、前むきにズズズっと進入し、「洋式トイレってずいぶん不便だなぁ・・・」と思った。
そのころは、必ずトイレのドアに「洋式トイレの使い方」という説明書があり図示もされていた。

中学1年のときに父が家を新築した。
新しいものが好きだった父はトイレを水洗式でなおかつ洋式にした。
1972年のことだった。
そしてこの家は、独立したばかりの設計士によって設計監理された。
安普請の小さな家だったが、玄関だけはちょっと洒落ていて、よく「お医者さんの入口」みたいだとみんながお世辞を言ってくれた。
この時代に、安普請の家を設計事務所に頼んだ人は少なかったであろう・・・

それでも、居間は和室だった。

ところが、今でも「座」の習慣が歴然とのこっている場所がある。
風呂だ。
洗い場にちょっとしたフロ椅子的なものはあるが腰掛ける椅子がおいてある家は少ないであろう。
残したい文化でもあるが、最近足をけがして、これが、とても不便に感じた。
なぜ、風呂の洗い場だけは、こうなんだろうか・・・
狭くて椅子など置けないからなのだろうか・・・

自邸をリフォームするとすれば、洗い場にベンチみたいなものをつけてみたいと思うのは、父の血筋だろうか・・・
by asaasa-archi | 2010-05-11 22:51 | お仕事