女性建築士のブログ 普段どおりの毎日

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壊せ!壊せ!

壊せ!という題名だが、解体工事のお話ではない。

プランのエスキス(下書きのこと:建築家はいじましくも外国語をよく使う)をしているとき、思考の立ち往生をすることがある。
こういう時に必ず思い出す言葉がある。

「壊せ!壊せ!」

学生時代、当時の坂本一成教授に言われた言葉である。

武蔵美の1年生最初にやることは、授業で1m立方のコンクリートの塊をひとり1コ与えられて、実物大の手の握りこぶしを彫り上げることだ。
手の握りこぶしはどんなに大きい人でもせいぜい15cmである。
つまり、この授業で学ぶことは、コンクリートの塊をのみと金槌で根気よく2ヶ月以上かけて砕くことなのである。

あの大学のおもしろいところは、造ることではなく、壊すことから始まるのだ。

当時はさっぱり意図がわからなかった。
でも今はよくわかる。
大学の建築科に入学する学生はけっこう創作意欲が旺盛で鼻息が荒い。
これは、建築に限らずデザイン科も同じだ。
この荒い鼻息をイッキに打ち砕く意図がある。

おもしろいじゃないか!

造形家にとって造ることは容易であるが、造りはじめて壁にぶちあたった時に必ず必要なことは、壊すことを知ることなのである。
それも中途半端な修正ではなく、根本から根こそぎ壊す破壊である。
やはり邪魔なものは、惰性や慣性である。

それと対峙するものもある。
人間関係である。
壊れた友情や愛情はもとには戻らない。
だから、壊れそうになっても、そっとそっと修復を繰り返したほうがよい。

人間は内に向かっては破壊と創作を繰り返し、外に向かっては、寛容、凡庸を発するものなのかと思うと、つくづく生きることの姿勢の迷宮に迷い込むのである。
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by asaasa-archi | 2009-09-20 19:18 | お仕事